2018/05/02 「保護する責任」規範の伝播ー説得と交渉のメカニズムー
2001年末、「介入と国家主権に関する国際委員会(ICISS)」によって
「保護する責任(R2P)」が提唱された
保護する責任(R2P)
…ジェノサイドや深刻な人道危機からの市民の保護を国家と国際社会に求める規範
基本理念
国家主権は人々を保護する責任を伴う
国家が保護する責任を果たせない場合は国際社会がその責任を務める
国際社会の保護する責任は不干渉原則に優先する
3つの包含要素
①予防する責任(responsibility to prevent)…紛争の原因に対する取り組み
②対応する責任(responsibility to react)…状況に対する強制措置(軍事干渉も含む)を含む手段による対応
③再建する責任(responsibility to rebuild)…復興、和解などへの十全な支援の提供
保護する責任 に対する意見
対シリア武力行使について、化学兵器の使用に関する証拠は検証されていないし、その証拠の立証は難しい
また93年の化学兵器禁止条約にシリアは未署名→正当性が不十分
また安保理の採決も強制力がなく、中国とロシアの反対が考えられるため効力は期待できない
NATOによる空爆も、違法ではあるけれど人道的介入の目的達成のためには必要
結局保護する責任というものは狭義の介入でしかないのでは?
保護する責任は必要ではあるが結局理想論でしかないと感じる
先進国主導でこの規範形成が進んだとしても発展途上国や懐疑派諸国の批判が募る一方である 水準をどこに合わせ、保護目的を達成していくべきか検討することが重要である